劇団鹿島——それはフットボーラーたちによる、ユニークで魅力的な演劇の世界。彼らはただのフットボーラーではない。ボールを蹴るだけでは終わらない。彼らには物語を演じる力がある。

そして今年、その唯一の演目はついに最終章へ。タイトルは 「MOMOTARO 3rd」。副題に 「新たなる希望」 を掲げ、「桃太郎」は最終回を迎える。

劇団の中心人物は安西幸輝。彼は脚本を執筆し、演出を手掛け、主演も務める。しかも今年は主演が 2役。ひとつの舞台の中で、異なる顔を生き分けるという無茶を、真正面からやり切ろうとしている。シリーズの集大成として、これまで積み上げてきた“桃太郎”の世界をどう決着させるのか。ピッチで見せるストイックさとは別の顔で、舞台上の安西は物語そのものを背負って立つ。

若手選手(一部若手以外も含む)たちも加わる。フレッシュでエネルギッシュなメンバーが、村長や犬、サルを演じ、場面ごとにテンポを生む。全力で走り切るように演じ、観客の衝撃と感動を引き出すのは、劇団鹿島が約束する必然のストーリー。

ドラマや映画で「シリーズ3」は勢いが落ちがちだ、と言われることがある。だが 「MOMOTARO 3rd」 は、その常識に寄りかからない。むしろ、ここでしかできない驚きの展開を仕込み、最後は意外性のあるエンディングへ着地する。最終回でありながら、終わらせるためだけの結末ではなく、「新たなる希望」 の名にふさわしい余韻を残す。

フットボールと演劇の境界を超えて生まれる、この不思議なエネルギー。今年の劇団鹿島は「完結」を掲げながら、次の物語へ視線を向ける。だからこそ、我々は見届けなければならない。ここから始まるストーリーを。

 

 本作は、劇団鹿島が長らく磨き上げてきた「桃太郎」シリーズの集大成として上演された、最終章です。演目名は 「MOMOTARO 3rd」、副題は 「新たなる希望」。節目にふさわしく、作品全体を通して“完結”と“継承”の両面を意識した構成となっています。

 本公演では、各選手がそれぞれの役を担い、舞台としての完成度を更に高めました。中でも、植田直通は稀代のヒール役といえる鬼として圧倒的な存在感を示し、物語全体の緊張感を牽引しました。また、安西幸輝は演出・脚本を担当し、稽古段階から演技指導まで主導的な役割を担いました。加えて本作では、安西幸輝が主演として二役を務め、物語の要所を強く印象づけています。

 “完結”と“継承”は、物語上の技法に留まらず、人類の歴史そのものを貫いてきた原理です。古代より数多くの文明が、創造と拡張の果てに必ず終わりを迎えてきました。しかし終わりは消滅ではなく、そこに至るまでに積み上げられた知恵、技術、祈りが次代へと受け渡されることで、歴史は前へ進むのです。そしてそれは、生と死も同様です。個は必ず死に至る一方で、想いや責任、記憶は他者へと移り、魂として生き続ける。人間の営みは、常に「終えること」と「繋ぐこと」の同時遂行によって成立してきました。

 本作が志向する“完結”とは、単に幕を下ろすことではありません。
終点と向き合い、積み上げた過程に決着を与えることです。そしてそこで燃え尽きるのではなく、熱を想いへと変え、次の担い手が再現可能なものとして遺していきます。この二つを同時に成立させる姿勢は、鹿島アントラーズというクラブの在り方と通じるものがあるかもしれません。いや、きっとそうに違いありません。多分、そういうことなのです。

 舞台の上で示される「終わり」。そこから始まる「次」の予感は、クラブが持つ時間軸、過去から未来へ、個から組織へ、生命から概念へ、1,000年後の未来に向けて照射したものと言えます。

劇団鹿島「MOMOTARO 3rd」シャツ

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